Columnコラム

高野寛が語る。音楽人「レイ・ハラカミ」

読み物 2018,04,18

レイ・ハラカミは孤高の天才だった。

一昔前のラップトップと入門用のソフトウエア、そして打ち込みの教材などに使われていた(そのままでは凡庸な音しか出ないはずの)チープな音源、たったそれだけの道具で、立体的な箱庭の宇宙を創り出した。

ハラカミ君は晩年、京都を制作の拠点にしていた。

ミニマルな要素でイマジネーションの拡がりを喚起させるその手法は、あたかも枯山水の庭園のようで、京都の時の流れや「文化の地層」(© ムッシュかまやつ)がその世界観に強い影響を与えたであろうことは、想像に難くない。

先日、ハラカミ君が京都精華大学ポピュラーカルチャー学部立ち上げの時の教授の候補に挙がっていたことを、学部長から伺った。

2011年7月の突然の夭折にその構想も叶わなかったが、もし彼が、大学で教えることを承諾したとして、果たして後継者は育っただろうか? 夢想してみても、具体的なイメージに辿り着く前に想像は止まってしまう。

それは「東日本大震災の後、もし忌野清志郎が生きていたら?」という仮定にも似ている。

その想定自体が意味を成さないと思えるほど時代は変わってしまった。

或いは、天才たちを失ったことで時代が変わってしまったのかもしれない。

 

ライター:高野寛(ミュージシャン / 京都精華大学ポピュラーカルチャー学部特任教授)

 

 

 

 

 

 

高野寛
ミュージシャン 2018年10月に、ソロシンガーとしてのデビュー30周年を迎える。
その他、ギタリスト、サウンドプロデューサーとしてのセッションワーク多数。
2013年から京都精華大学ポピュラーカルチャー学部・音楽コース特任教授をつとめる。
2018年より同学部客員教授に就任。

オフィシャルサイトのURL
www.haas.jp

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